子どものいる生活

息子のこと、元夫のこと、私の生活のあれこれ。順風満帆。

夜の散歩

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すっかり寒くなりました。どんなに寒くても息子が断固として掛け布団を拒否するので、布団片手に呆然とする毎日です。

相変わらず夫とは連絡を絶っています。

 

薄氷のような平穏の上をスイスイ滑るように生活しています。

割らないように、割れないように。


夫の病気、私たちを拒否する夫、度々父親に会いたいと泣く息子、出て行かなくてはいけない自宅、これまでに経験したことないような経済的逼迫。

それら全てに目をつぶって、ただただ息子との日常を隅々まで味わっています。


もうすぐ失われる日常だから。


 

最近、息子はとても夫に似てきました。


3歳児健診では、発達障害及び高知能児の可能性が高いこと、年を重ねるごとに周りとの差に本人が気が付き、お友達との関係が難しくなるかもしれないことを保健師さんから伺いました。

息子の指摘された発達障害的特徴は、夫とそっくりでした。


ユニークなことがプラスになる場面だけではない社会だから、息子が対面する困難を思うとわずかに心に影は差しますが、私は彼のユニークなところを心から愛しているのでそのユニークを存分に生かせる環境を整えたいと思っています。

 

夫に似ているのは知能や性格的特徴だけではなく、近所の中華料理屋でいつもチャーハンと餃子を注文するところとか、コンビニにすぐに行きたがるところとか、外食が好きなところとか、静かな公園よりも繁華街を好むところとか、気に入った食べ物をそればかり食べ続けるところとか、変なところが似ています。

 

最近、息子が「夜のお散歩」によく私を誘います。

夕飯を終えた7時頃、決まって「お母さん、夜のお散歩に行こう」と言うのです。

行先は近所のスーパーかコンビ二。

15分ばかりの短いお散歩です。

「お母さん、夜のお散歩だね。一緒だからうれしいね」

「お月様がきれいだね」

「雨の日は信号がキラキラしてるでしょ?きれいだね。お母さん一緒に見られてうれしいね」

「お母さん、夜のお散歩楽しいね」

宝物のような言葉を私に降り注ぐ息子。

 

夫もよく私を夜の散歩に誘いました。

息子が眠った後、大抵は「一緒にコンビニに行かない?」と。

息子の部屋にカメラモニターをセットして近所のコンビニまで二人でてくてく歩いて行くのです。

15分ばかりの二人きりの散歩。

コンビニの白熱灯、夫が決まって買うコーラ。

私にはアーモンドチョコやアイスクリームなんかのちょっとしたものを必ず買ってくれました。

誘われても喧嘩をしている時は断るのですが、そういう時には夫はなぜか「一緒に行こう!一人なら行かない」と私を誘いました。そして結局一緒にコンビニ行き仲直りするのです。


私はこの夫とする夜の散歩が大好きでした。

 

一緒にコンビニ行くだけでうれしい気持ちになる男の人がいるなんて。

この人はいったい何なんだろう。

私は人間不信で恋愛をわからないまま年を取ったけれど、この人と手をつなぐのはとても好き。

毎回毎回、そんなことを思いながら夜の道を取り留めもない話をしながら歩きました。

 

こんなことを思い出すのは、夫が好きだと言っていた歌の歌詞を偶然目にしたからです。



きのこ帝国の

クロノスタシスです。

 

コンビニエンスストア
350mlの缶ビール買って
きみと夜の散歩
時計の針は0時を差してる

クロノスタシス”って知ってる?
知らないときみが言う
時計の針が止まって見える
現象のことだよ

Holiday's middnight
少し汗ばんだ手のひらが
子供みたいな体温

誰も知らない場所に行きたい
誰も知らない秘密を知りたい
街灯の下で きみの髪が

ゆらゆら揺れて 夢のようで
ゆらゆら揺れて どうかしてる

Holiday's middnight
今夜だけ忘れてよ 家まで帰る道

なんかさ ちょっとさ いい感じ
街灯の下で きみの影が

ゆらゆら揺れて 夢のようで
ゆらゆら揺れて どうかしてる

歩く速度が違うから
BPM 83に合わせて
きみと夜の散歩
それ以上もう何も言わないで

クロノスタシス”って知ってる?
知らないときみが言う
時計の針が止まって見える
現象のことらしいよ

ゆらゆら揺れて 夢のようで
ゆらゆら揺れて どうかしてる

コンビニエンスストア
350mlの缶ビール買って
きみと夜の散歩
時計の針は0時を差してる

クロノスタシス”って知ってる?
知らないときみが言う
時計の針が止まって見える
現象のことだよ


この歌詞を読んで、

もしかしたら、もしかしたら、夫も夜の散歩が好きだったのかもしれないと思いました。



音楽好きな夫が好きな歌だと教えたくれた歌。

教えてもらった時には気にとめなかったのに、今になって、こんな全部無くした今になってこの歌詞を読むなんて。


在りし日の2人を思って少し泣きました。


家族になったことに後悔はないと思いました。