子どものいる生活

息子のこと、元夫のこと、私の生活のあれこれ。順風満帆。

正しいなんて知らない

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久しぶりに夫のこと。

夫はとても弱い。それに弱さを誤魔化すためにずるい。

他人を駒のように思っている節がある。

私のことをとても本当じゃないくらい傷付けた過去がある。

お互い様だけど。

私のことをとても信じられないくらい大事にしてくれた過去もある。

新しいおもちゃを与えられた子どもが張り切ってするおままごとのようだったけれど。

 

夫の精神年齢が幼児なのだと精神科医は言った。

精神年齢は幼児で、能力は大学生で止まっていると夫は言う。

ふーん。

頭はすごくいいのにね。

少なくとも私からみたら神さまみたいに賢いのにね。

精神年齢はね、まあ、そうだろうね。

だから育児を2人でしようとして紆余曲折後に壊滅したんだから。

でもそれって悪いこと?

別に良くないか?

幼さを自覚して、コンプレックスに身を縮めて生きてる夫の姿は痛々しい。

 

夫は、僕は社会に適応できないと言う。

どこで働いても人間関係がうまくやれない。他人に共感することができない。

居場所がないと。

毎日どんな思いで働いているのだろうと思うと胸が詰まる。

 

私は夫にもう好きにしてほしいと思ってしまう。

私のことも息子のことも考えなくていいから、婚姻費用も払わなくていいし、お金の心配なんてしなくていいよ。

私が養うよと思ってしまう。

すごい馬鹿だな私。

でもそう思う。

 

 

そんな夫は正しくない。父親としても最低。

ダメ人間。

幼稚。

自己中。

サイコパス

 

もうそれでいいじゃん。

正しいなんて知らない。

正しい人間しか生きてたらダメなの?

そんなに正しいことは大事?

何よりも?

そんな筈ない。

正解じゃない人生もまた愛おしい。

それにさ、いろんな時期があるよ。

ずっと正しくてずっと幸せな人なんてあんまりいないと思うよ。

 

 

夫は双極性障害の症状がとても酷い時、じっとしていられなくなり、仕事を休んで毎日いろんなところに行っていた。

ライブとかサッカー観戦とか夜中の本屋とか実家の周りとか。

ある日、息子をベビーシッターに預けて一緒に鎌倉に行かない?と誘われた。

「鎌倉に行ったことあるの?」と私が尋ねると「行ったことない」と言う。

「そうなんだ。江ノ電に乗るんだよね」などと話していた。

後日、夫は私を鎌倉に誘った日に一人で鎌倉へ行って江ノ電に乗っていたと判明した。

行ったことないって言ってたのに。

だから行きたいって言ってたのに。

なんでそんな嘘つくの?

私を馬鹿にしてるの?

いったいなんなのおまえ。

くだらない嘘をついてはずかしくないの?

息子の父親なのに。

もっとしっかりしてよ。

親として見本となる人間でいてよ。

意味のわからない嘘をつかれたことに私は酷く腹を立てて鎌倉行きは中止になりました。

私は2歳の息子の育児にてんてこ舞いで、その時期の私にとっての夫は「息子の父親」でしかありませんでした。

正しい父親であってほしいという強いプレッシャーを意識的に夫にかけていました。

夫は息子のために誰より正しい父親であるべきだとなんの疑いもなく思っていました。

正しい人間、正しい父親にしか価値がないと双極性障害の夫に言うのは、とても残酷なことです。

その時、夫は双極性障害と未診断でしたが、私は彼の行動から予測がついていたのに。

夫の病状が悪くなったのは私のせいだと今でも思います。

私は夫を治そうと思ったんじゃない、夫を救おうと思ったんじゃない、夫を正そうと思っていたのでした。

正すことが、息子のためだと。

私は母親として家族のことを考えているのだ。

夫は正しい人間になるために病気を治すべきなのだと。

なんて傲慢で狂気じみた正義を振りかざしていたのでしょう。

 

今となっては、自分でコントロールできない衝動により鎌倉くんだりまでひとりで出かけて、ひとりで江ノ電に乗り、疲れた顔で夕方帰ってきて、どこに行ったかも言わずに「今度、息子を預けて一緒に鎌倉に行こう」と誘ってくれるなんて、なんて素敵なことだろう思います。

ひとりで行って観たものを私にも見せたくなったなんて、それはとてもうれしいことだから。

 

正しい人間は嘘をつかない。

あなたは嘘つき。

だから私は怒るの、何か間違ってる?

正しいのは私でしょ?

正しいのは私。

 

そう思ってたけど、今はもう正しいなんて知らない。

正しいなんて糞食らえ。

夫は息子をとてもとても大事に思っている。

いじましい努力でいつも出来る限りのことをしてくれる。

結果は出なくても。

それが今はわかるから、正しいなんてもう知らない。

いつか2人で鎌倉に行きたい。