子どものいる生活

息子のこと、元夫のこと、私の生活のあれこれ。順風満帆。

意識を失った夫

f:id:unohitomi:20170418152855j:plain


すっかり春の陽気ですね。
慌ただしく過ごしているうちにいつの間にか桜も散ってしまいました。

慌ただしくもなるはず、先週、夫が職場で意識を失い倒れたのです。

その日の朝、私は九段下の歯科医院へ行こうと身支度をしていました。
夫と別居して滋賀へ一時的に住居を移す予定があるため、かかりつけの無痛治療をしてくれる歯科に行こうと思ったのです。

化粧をして着替えてさあ、出かけようとしたところで息子の通う保育園から電話がありました
てっきり息子が熱でも出したのかと思い電話に出てみると、
園長先生が「ご主人の会社の方から連絡がありました。ご主人が会社で倒れられて、お迎えは行けないと保育園に電話してくれと繰り返しておられるとのことです。こちらからはお迎えはお母さまだから心配ないとお伝えしましたが、どうもご主人の様子がおかしいようです。すぐにご主人の会社に連絡した方が良いです」とおっしゃいました。
「わかりました。ご連絡いただき助かりました。すぐに対応いたします」と応えたものの突然のことに頭は真っ白。
とにかく夫の上司に連絡を取り、状況を確認するも「意識が朦朧としていて、意思の疎通ができない。救急車を呼んだが乗車を拒否する」と。
電話では要領を得ないので、職場に夫を迎えにくことにしました。

職場の方に支えられて休憩室から出てきた夫を見て、あ、この人死ぬかもしれないと思いました。
瞳孔の開いた焦点の合わない眼、真っ青の顔、カサカサで紫の唇、フラフラの足取り。

夫にかすれた声で「泣かないで」と言われて初めて自分が泣いていることに気が付きました。

都心にそびえる栄華を極めたような自社ビル、華やかな服装の若い社員達、ちょうどお昼休みの時間帯だったので、淡い色のひらひらした春らしい洋服を着た美しい女性達がいたるところで談笑しており、ぼんやりと、ああ、なんて遠くまで来たんだろうと思いました。

タクシーに乗り込んでからも夫は「財布がない!」「社員証がない!」「止めてくれ」と騒ぎ、まるで認知症の不穏状態のようでした。
タクシーの中で主治医に連絡を取り、受診しましたが、意識を失ったはっきりとした原因はわかりません。
恐らくストレスによる解離性障害とのことでしたが、本人はストレスなんかないと言います。
ひとまず、身体的な異常なしとのことでそこは安心しました。

支離滅裂なことを言って暴れる夫を連れて何とか帰宅。
帰宅後、夫はすぐにベッドに入り翌朝まで眠りました。
起きた時には、鬱転しており「死にたい」「助けて」と繰り返すばかり。
私は夫を抱きしめ「大丈夫だよ、大丈夫だよ」と繰り返しますが、一体全体何が大丈夫なのか。大丈夫なことなど何一つないとしか思えません。
私達はどうなるのだろう。
どこまでいくのだろう。

苦しそうに顔を歪める夫を不思議そうに息子が見上げるので、「お父さんはご病気でしんどいしんどいなんだよ」と言うと、息子は夫を何度も撫でてくれました。
「ありがとう。息子が優しくしてくれるからお父さんすぐに元気になるね」と言うと、にっこり笑って私のことも撫でてくれました。

何があってもこの子から何かを奪うことのないようにしなくてはいけない。